企画上映

日本映画1979-1989/

昭和の終わりと新たな風

ベテランと新世代、メジャー作品と独立系が交わる昭和の最後の10+1年間の、多彩な日本映画を収蔵作品からセレクトして上映します。

4月2日(木)~4月29日(水祝) 
※休館日・休映日除く
◎特に表記のないのもの35ミリフィルム上映


観覧料: 
大人=500円/大学生・高校生=400円/中学生・小学生=300円/福岡市在住の65歳以上の方・わたすクラブ会員=250円(要証明書・会員証原本提示)/障がい者の方および介護者の方1名=無料(要証明書提示)


 収蔵作品のなかから1979年から1989年に製作された日本映画の特集をおこないます。吉永小百合がそれまでのイメージを一新する役を演じたり(「玄海つれづれ節」)、ベテランといえる今村昌平の「楢山節考」がカンヌ映画祭で最高賞を受賞したり(大島渚「戦場のメリークリスマス」も同じコンペティション部門に出品していて下馬評では大島が有力と見られていたにもかかわらず)、「仁義なき戦い」シリーズを経て、脂の乗り切った深作欣二が「蒲田行進曲」「火宅の人」といった多彩な作品を手がけたりと、それ以前の日本映画の伝統と革新が交差する時代だったといえます。家庭用ビデオの普及と重なるこの時期の日本映画をスクリーンでみる機会は少ないかもしれませんが、今なおこの時代の日本映画の魅力は色褪せません。国立映画アーカイブで大特集が行われ、再評価の機運の高い森田芳光の代表作「家族ゲーム」はこの時代の日本映画を語るには欠かせない一作です。
 今回の特集では、短編・中編作品も上映します。ちょっと驚く原作者との組み合わせがあったりするのにも注目です。山川直人監督・村上春樹原作「100%の女の子」、石井聰亙(岳龍)監督・「AKIRA」の大友克洋原作「シャッフル」など、自主映画出身の映画監督たちと、小説・マンガなどで注目を集めていた才能が、これらの作品に結晶したことにも時代の空気を感じます。やや逸れますが、石井監督の「指圧王者」は、直接的に描かれるわけではないもののバブルの空気を濃密に感じる異色の短編です。
 昨年5月に特集上映をおこなった実験映画作家の伊藤高志さんには、その後、たびたび総合図書館にお越しいただき、監督作品のアーカイブを進めています。はじめてシネラで上映する「SPACY試作/1980」は、伊藤さんが保管されていたフィルムをご自身で整理していくなかで見つかった貴重なプロトタイプです。短い映像から、「SPACY」試作時は、キャンパス内の野外で制作しようとしていたことがわかります。図書館1階のシネマ・ギャラリーには撮影時のコンテも展示しています。丁寧な筆致に見惚れますが、普通の映画の画コンテとはまったく違うやり方で、実に緻密に撮影が計画されていたことに驚きます。また、残されていた資料には、伊藤さんが手がけられた複数の作品の日本劇場公開用の予告編の画コンテもあり、それらも展示しています。今回上映する、伊藤さんの師・松本俊夫監督による「ドグラ・マグラ」の劇場公開時の予告編も、伊藤さんが編集・演出されたものでした。
 映画の現在につながる線がいくつもの角度で見つかる熱い時代です。ぜひ気になった作品をいくつかご覧になってみてください。 (学芸員・杉原)


4/2木14:00 4/26日14:00  

太陽を盗んだ男 

1979/日本(キティ・フィルム)/カラー/147分

監督:長谷川和彦
出演:沢田研二、池上季実子




中学校の物理の教師・城戸は原子力発電所からプルトニウムを強奪して、自宅で原爆を作る。そして、警察に対して野球のナイターを最後まで放送しろと要求するが、次第に要求をエスカレートさせていく。それまでの日本映画に見られなかった社会性をもったアクション映画の娯楽大作。沢田研二がニヒルな主人公を好演する。

4/2木11:00 4/18土14:00  

四季・奈津子

1980/日本(東映・幻燈社)/カラー/119分

監督:東陽一
出演:烏丸せつ子、阿木燿子



福岡に住む四人姉妹の次女・奈津子は活動的な現代女性だった。ある日前衛劇団の公演を見た奈津子は、東京に住む写真家と出会い、新しい世界を求めて東京に出る決心をする。五木寛之原作のベストセラー小説の映画化作品。20代の女性の感性、当時の時代感覚を見事に表現しており、浮遊するような奈津子が魅力的である。

4/3金14:00 4/18土17:00

ツィゴイネルワイゼン

1980/日本(シネマ・プラセット)/カラー/144分

監督:鈴木清順
出演:原田芳雄、大谷直子



青地と中砂は旅先で芸者の小稲と出会う。一年後、中砂が結婚した女性・園は小稲にそっくりだった。園は豊子を産んで亡くなる。そして、次は小稲が豊子の乳母となるのだった。内田百閒の小説などを元にし、現実とも幻想ともつかない極彩色の映像美が際立つ鈴木清順の代表作。キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位など受賞多数。

4/8水14:00 4/29水祝11:00

青春の門

1981/日本(東映京都)/カラー/140分

監督:蔵原惟繕、深作欣二
出演:佐藤浩一、松坂慶子



筑豊に生まれた伊吹信介の父親・茂蔵は皆に慕われる炭鉱夫だったが、落盤事故で亡くなる。以来、信介と母親・タエの面倒を見るのはヤクザの竜五郎だった。やがてタエは結核に冒されてしまう。五木寛之「青春の門 筑豊編」の映画化で、実際に筑豊で撮影された。主人公の幼年期から青年期が、大正・昭和史と重ねて描かれる。

4/3金11:00 4/19日14:00 

泥の河

1981/日本(木村プロダクション)/白黒/105分

監督:小栗康平
出演:田村高廣、加賀まりこ




昭和31年大阪。食堂を営む板倉夫妻の息子・信雄は、喜一という少年と知り合う。喜一は姉・銀子と母親と一緒に川に浮かぶ舟に住んでいた。信雄の両親は喜一と銀子を夕食に招き優しくもてなすのだった。原作は宮本輝の同名小説。本作は小栗康平監督のデビュー作であり、戦後の一風景をモノクロの端正な映像で見事に描き出す。

4/9木14:00 4/29水祝14:00  

青春の門 自立篇

1982/日本(東映京都)/カラー/137分

監督:蔵原惟繕
出演:佐藤浩一、杉田かおる



高校を卒業し早稲田大学に入学した伊吹信介は、緒方という演劇部の先輩と知り合う。信介は緒方に売春宿に連れて行かれ、娼婦のカオルと知り合う。信介はボクシング部に入り、トレーニングを始めるのだった。立川基地拡張問題や赤線廃止など当時の世相を盛りこみながら、様々な人間模様が描かれる。

4/4土11:00 4/23木14:00

蒲田行進曲

1982/日本(松竹=角川春樹事務所)/カラー/108分

監督:深作欣二
出演:風間杜夫、松坂慶子



京都撮影所では新作映画「新撰組」の撮影が行われる。主演の銀ちゃんこと倉岡銀四郎は、付き合っていた小夏を妊娠させると、スキャンダルを恐れ、大部屋俳優のヤスに小夏を押し付けてしまう。つかこうへいの同名原作の映画化で、風間杜夫と平田満、松坂慶子が抜群のアンサンブルを見せる傑作。その年の映画賞を総なめにした。

4/10金14:00 4/25土14:00  

さらば愛しき大地

1982/日本(プロダクション群狼=アトリエ ダンカン)/カラー/134分

監督:柳町光男
出演:根津甚八、秋吉久美子





茨城県鹿島。ダンプの運転手の山沢幸雄は、二人の子どもを死なせて以来酒を飲んでは荒れる生活となる。幸雄は弟の明彦の恋人だった順子と出会い一緒に暮らすようになる。しかし粗暴な幸雄の仕事は次第に減っていく。脚本は監督のオリジナルで、実際に起きた殺人事件を元にしている。近代化する社会の中で荒廃する人間関係を描いた秀作。

4/19日11:00 4/24金14:00  

転校生

1982/日本(日本テレビ放送網=ATG)/カラー/113分

監督:大林宣彦
出演:小林聡美、尾身としのり






中学生・斉藤一夫のクラスに幼馴染だった斉藤一美が転校してくる。ある日、二人は神社の階段を一緒に転げ落ちて、体が入れ替わってしまう。男の子と女の子の体が入れ替わることで起きる騒動を描いた、今や古典的なファンタジックコメディ。大林監督の「尾道三部作」の一作としても知られる作品で、以後のスタイルを確立した。

4/8水11:00 4/26日11:00  

家族ゲーム

1983/日本(にっかつ撮影所=ニューセンチュリー・プロデューサーズ=ATG)/カラー/106分

監督:森田芳光
出演:松田優作、伊丹十三



沼田家では高校受験を控えた息子の茂之のために家庭教師をつけるが、やって来たのは三流大学7年生の吉本。父親から成績が上がれば特別報酬を払うといわれ、吉本は暴力的に教え始める。平穏な日常を変容させる松田優作の圧倒的な存在感を中心に、奇妙な現代の家族像の崩壊と再生を描く。近年再評価の機運が高い森田芳光の出世作。

4/5日11:00 4/22水14:00  

楢山節考

1983/日本(東映=今村プロダクション)/カラー/130分

監督:今村昌平
出演:緒形拳、坂本スミ子



山間にあるその村では、年寄は70歳を超えると楢山に連れて行かれ、置き去りにされるという習わしがあった。おりんは70歳だがまだまだ元気だった。しかし息子の辰平の結婚も決まり、おりんは辰平に背負われて楢山に向かう。厳しい大自然の中で生きる人々を力強く描いた作品で、1983年カンヌ映画祭グランプリを獲得した名作。

4/9木11:00 4/17金14:00

野蛮人のように

1985/日本(東映)/カラー/108分

監督:川島透
出演:薬師丸ひろ子、柴田恭兵



15歳で作家デビューし天才といわれた有栖川珠子はスランプだった。憂さ晴らしに街に出た珠子はチンピラの中井と喧嘩になる。珠子は、暴力団組長を殺した女と同じ服装をしていたことから追われる身となる。福岡市出身の川島透の監督第4作品。主人公の珠子を「不思議の国のアリス」に見立て、テンポ良い演出で見せるラブロマンス。

4/5日14:00 4/15水14:00

玄海つれづれ節

1986/日本(東映)/カラー/135分

監督:出目昌伸
出演:吉永小百合、八代亜紀



横浜で外国商品を扱う会社の社長・山岡は事業に失敗し、数億円の負債を残して失踪する。借金取りに追われる妻のゆきは、夫が九州に向かったことを聞き、故郷の北九州市に戻って夫の行方を探す。コメディ調の本作で、吉永小百合が、助けられながら自立していく女性を演じ、新たな側面を見せた。多くのシーンが北九州市内で撮影されている。

4/12日14:00 4/16木14:00  

火宅の人

1986/日本(東映)/カラー/132分

監督:深作欣二
出演:緒形拳、いしだあゆみ




桂は40過ぎの作家で5人の子持ち。妻が亡くなり、ヨリ子と結婚するが彼女は宗教にのめり込む。家庭に嫌気がさした桂は、愛人の恵子と暮らす。やがて放浪の旅に出た桂は葉子と出会う。檀一雄の自伝的同名小説の映画化。小説は傑作と評価が高いが、本作も大ヒットし、映画賞を独占した。様々なタイプの女性の配役が見事である。

4/10金11:00 4/25土17:00  

ドグラ・マグラ

1988/日本(活人堂シネマ=都市環境開発)/カラー/109分

監督:松本俊夫
出演:桂枝雀、松田洋治



九州医科大学精神科の病棟で呉一郎が目を覚ます。彼はすべての記憶を失っており、担任の若林教授によれば恐ろしい事件のショックが記憶喪失の原因だという。原作は夢野久作の同名小説。狂気と記憶に関する物語であり、吾一郎と若林教授をめぐる推理とサスペンスに溢れ、堂々巡りのメビウスの輪のような錯覚をもたらす。若林教授を演じる桂枝雀が出色。

4/11土11:00 1980年代日本映画短編選 (4作品・66分)

 


100%の女の子



100%の女の子 
1983/日本/カラー/11分/16ミリフィルム上映 監督:山川直人

MODEL
1987/日本/白黒/10分/16ミリフィルム上映 監督:手塚眞

指圧王者
1989/日本/カラー/12分 監督:石井聰亙(岳龍)

シャッフル
1981/日本/カラー/33分 監督:石井聰亙(岳龍)


4/12日11:00 1980年代伊藤高志作品集
(10作品・66分/すべて伊藤高志監督作品/「SPACY試作/1980」除き16ミリフィルム上映)


SPACY


WALL



SPACY試作/1980
1980/白黒/サイレント/デジタル/1分40秒
SPACY
1981/日本/カラー/10分
BOX
1982/日本/カラー/8分
THUNDER
1982/日本/カラー/5分
DRILL
1983/日本/白黒/サイレント/6分
GHOST
1984/日本/カラー/6分
GRIM
1985/日本/カラー/8分
WALL
1987/日本/カラー/7分
悪魔の回路図
1988/日本/カラー/8分
ミイラの夢
1989/日本/白黒/サイレント/6分


上映スケジュール

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