企画上映
アーカイヴ・コレクション Part 20
青山真治 短編・ビデオ作品アーカイヴ特集
《青山真治と音楽》
映画監督・青山真治が生み出した多彩な短編、ビデオ作品を上映します。
9月23日(火祝)、9月25日(木)~9月27日(土)
企画・協力:樋口泰人(boid)、佐藤公美(ブランディッシュ)
◎「赤ずきん」をのぞき、デジタル上映
観覧料:
大人=600円/大学生・高校生=500円/中学生・小学生=400円
福岡市在住の65歳以上の方・わたすクラブ会員/障がい者の方および介護者の方1名=300円(要証明書・会員証原本提示)
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「赤ずきん」上映後トークイベント + 参考上映
9/23(火祝)14:00
(16:00終了予定/イベント内容は予告なく変更になる場合があります)
[ゲスト] 樋口泰人 (ひぐち・やすひと)
映画批評家、boid主宰、爆音映画祭プロデューサー。98年に「boid」設立。04年から吉祥寺バウスシアターにて、音楽用のライヴ音響システムを使用しての爆音上映シリーズを企画、「爆音映画祭」は2008年から全国的に展開中。著書に『そこから先は別世界 妄想映画日記2021-2023』(boid)、『映画は爆音でささやく』(同)、『映画とロックンロールにおいてアメリカと合衆国はいかに闘ったか』(青土社)など。 |
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写真=栗栖丈璽
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北九州・門司出身の青山真治(1964-2022)は、「EUREKA ユリイカ」(2000)をはじめ、傑出した映画を多数監督し、同時代の映画史に大きな足跡を残しました。今、青山さんの監督作品のなかでも、これまで限定的にしか見られる機会のなかった作品群のアーカイヴを総合図書館では進めています。
青山さんは映画監督、脚本家、小説家、批評家、音楽家、舞台演出家、大学教授と、いくつもの顔をもっていました。晩年に至るまで空気を吸うように、古典から現代作品まで映画を見続け、音楽を聴き、本を読み、舞台に足を運び、縦横無尽に構想し、密度の高い作品を生み出す博学の人でした。先人たちの、あらゆる作品へのリスペクトが桁違いに高い作家だともいえます。映画作家の独創性は、必ずしも内発的な創作意欲だけに支えられるものではありません。該博な知識を得つつ絶えず更新し、接ぎ木をすることのできる才能が、青山さんを独自の表現者たらしめています。
異なる表現ジャンルと往来してきた青山さんを「映画界の巨匠」と呼ぶことには、どうもしっくりこない気がしています。多くの作品を発表し続けていた1990年代から2010年代は、映画は、フィルムからデジタルへと大きく変化していった期間で、機材が簡素化し、大人数の撮影体制に限らず、少人数のスタッフで機動性の高い制作が実現できるようになります。こうしたことも背景に、学生らとともに制作した作品が多く生まれました。そうした「小さな」作品には、だからこそ、その時々の思考と試行の積み重ねが、率直に提示されています。特に、映画をつくる人にとってはヒントになる要素が散りばめられています。
まだそのすべてを網羅できているわけではありませんが、まずは、その第一弾を紹介します。「青山の作品群を福岡市総合図書館にアーカイヴしましょう」と声を挙げてくださった発起人で、青山さんと伴走し続けた樋口泰人さんによるトークも催す予定です。「巨大な木のような青山真治の作品」とは、樋口さんの言葉ですが、その一端に触れてみてください。
(学芸員・杉原)
9/23[火祝]11:00
June12,1998/ at the edge of chaos カオスの縁
2000/日本(boid)/カラー/65分
監督:青山真治
出演:クリス・カトラー
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1978年に設立された英国の独立レーベル「レコメンデッド・レコード」を主宰し、ドラマー、パーカッショニストとして多くのバンドで活躍し、世界に発信し続けてきたクリス・カトラー(1947-)。98年6月東京での単独公演の模様を捉え、「即興」と「カオスの縁」を巡る彼の言葉と思考を記録している。
9/25[木]14:00
phew video
2001/日本(boid)/カラー/60分
編集・構成:青山真治、樋口泰人
出演:Phew、Aunt Sally、Phewバンド、Big Picture、MOST
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1979年の伝説のバンド「アーント・サリー」の貴重なライブ映像をはじめ、山本精一などと組んだパンクバンド「MOST」、そしてダウザーとの「Big Picture」のライブ・パフォーマンスを記録。20数年にわたる音楽活動の軌跡を振り返りつつ、新しい音楽の現在と未来を見つめる。
9/25[木]11:00
秋聲旅日記
2003/日本(徳田秋聲映像作品製作委員会)/43分/カラー
監督・脚本:青山真治
原作:徳田秋聲
出演:嶋田久作、とよた真帆、ナシモトタオ |
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故郷金沢にほど近い空港に、嶋田久作演じる徳田秋聲が降り立つ。現代の金沢の風景に秋聲を配置し、大正から昭和初期にかけて発表した「挿話」「籠の小鳥」「旅日記」などを引用してゆく。本作は、竪町商店街振興組合と金沢の映画館シネモンドが企画した映画製作ワークショップの一環から生まれた。
9/26[金]11:00 2本立て上映
海流から遠く離れて
2003/日本(横浜国立大学)/19分/カラー
監督・脚本:青山真治
出演:光石研
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光石研扮する新任の大学教授が、光石自身のナレーションに導かれるようにキャンパス内を彷徨ってゆく。横浜国立大学の依頼によって、建築学科のPR用に製作され短編。撮影はたむらまさき。学内の大きな実験機材や設備、建築が、光石の歩みに沿って次々と展開されていく。
すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために
2001/日本/51分/カラー
監督:青山真治
出演:万田邦敏、億田(大九)明子、西山洋一
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2001年の東京の風景に、中野重治や夏目漱石などのテキストの朗読が重なり、昭和天皇や幸徳秋水・管野スガのイメージが挟まるシンボリックで政治的な野心作。「国民文化祭・ぐんま2001 in たかさき」のために映画美学校生とともに制作。映画と文学を越境するラジカルな思考が提示される。
9/27[土]
11:00 第1章+第2章 13:30 第3章+第4章 17:00 第5章+第6章
AA 音楽批評家:間章
2006/日本(映画美学校・ユーロスペース)/443分/カラー
監督:青山真治
インタビュアー:大里俊晴
出演:大友良英、灰野敬二
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32歳で逝去した音楽批評家・間章(あいだ・あきら/1946-78)を追い、批評家、音楽家、美学者たち計12人へのインタビューと演奏によって、全6部に構成された長大なドキュメンタリー映画。映画美学校・青山ゼミのメンバーと共に制作され、間章の思考と運動を多角的に捉えようと試みる7時間半の旅。
9/23[火祝]14:00
赤ずきん Le petit chaperon rouge
2008/フランス/カラー/35分/35ミリフィルム上映/日本語字幕付き
監督・共同脚本:青山真治
出演:
ジュディット・シュムラ、ルー・カステル |
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撮影:田村尚子
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フランスのジュヌヴィリエ国立演劇センターの依頼により、パリ郊外のジュヌヴィリエで制作された、知られざる傑作中編映画。デルフィーヌ(ジュディット・シュムラ)は銃を手に〈あるもの〉を探しにでかけるが、待ち受けていた老人(ルー・カステル)に捕まってしまう。
9/26[金]14:00 「FUGAKU」三部作
(計119分/日本(多摩美術大学・たまふぃるむ)
FUGAKU1/犬小屋のゾンビ
2013/31分/カラー
監督:青山真治
出演:山本圭祐、足立理、あおやましんじ
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多摩美術大学映像演劇科の教授在任中に学生や教員とともに制作した『FUGAKU』シリーズ第1作。映写技師Kがエージェントに連れられ辿り着いた山奥の湖畔。「犬小屋」と呼ばれるその場所を舞台に、Twitterのbotから引かれた言葉をもとに構成された台詞、絵画など既存の言葉やイメージの引用、撮影中に導かれたアイデアがゴチャマゼに提示されてゆく。
FUGAKU2/かもめ The Shots
2014/41分/カラー
監督・脚本:青山真治
出演:とよた真帆、高橋洋、あおやましんじ
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大女優がその恋人の人気作家たちを招き、女優の息子が自作の芝居を披露する場面から始まる群像劇。チェーホフの戯曲「かもめ」を原作としつつ、3時間近くの戯曲の台詞を40分になるまで刈りこみ、それに対応するかのように舞台美術も最小限のセットで進行することで、俳優の存在が前景化してくる。
FuGAK3/さらば愛しのeien
2015/46分/カラー
監督:青山真治
出演:小出水賢一郎、松嵜翔平、坂爪健 |
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シリーズの最終第3作。キャンパスを舞台に「総裁」の暗殺を目論む一団が繰り広げる銃撃戦と、大学の映画祭のテーマ曲を作るために集った学生と教授の会話が並行する。キャストとスタッフが入り混じって撮影され、公式クレジットもない。タイトルに「U」を欠いたまま、未完であり続ける映画。
上映スケジュール
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