企画上映
安部公房生誕100年
安部公房と映画
世界的な文学者である安部公房(1924-1993)が、最初に映画脚本に携わった作品から、代表作である勅使河原宏監督との傑作群、安部自身が監督した映画、そして2024年公開の最新作「箱男」までを特集します。
会期:12/11(水)~12月27日(金) ※休館・休映日除く
観覧料:
大人=600円/大学生・高校生=500円/中学生・小学生=400円/福岡市在住の65歳以上の方・「わたすクラブ」会員・障がい者の方および介護者の方1名=300円
(要証明書・会員証原本提示)
特に表記ないもの35ミリフィルム上映
|
|
|
12/12(木)11:00
12/18(水)14:00
億万長者
A Billionaire
国立映画アーカイブ所蔵作品
1954/日本(青年俳優クラブ)/83分/白黒/35ミリフィルム上映
監督:市川崑 脚本協力:安部公房
出演:木村功 久我美子 山田五十鈴
|
|
©国際放映 |
小心者の税務署徴税係の館香六(木村功)は、原爆つくりに夢中になる女(久我美子)や、悪徳政治家と悪事を企む芸者(山田五十鈴)らに翻弄され、思わぬ事態に巻き込まれる。戦後の社会問題を盛り込んだ風刺劇。監督に起用された市川崑と方向性が食い違っていたため安部の脚本は採用されず、市川の妻の和田夏十が脚本を書き上げ、安部は脚本協力としてクレジットされた。
12/12(木)14:00 12/22(日)11:00
壁あつき部屋
The Thick-Walled Room
1956/日本(新鋭プロダクション)/110分/白黒/35ミリフィルム上映
監督:小林正樹 脚色:安部公房
出演:浜田寅彦 三島耕 岸恵子
|
|
©1956 松竹株式会社 |
山下は、戦時中南方で上官浜田の命令で一人を殺したのだが、その浜田の密告で重労働終身刑の判決を受けた。また横田は戦時中、米俘虜収容所の通訳だっただけで巣鴨拘置所に入れられた。巣鴨拘置所に服役中のBC級戦犯の手記「壁あつき部屋」を原作に、安部公房が初めて映画脚本を手がけた作品。1953年度に制作されたが、対米感情への配慮から1956年に公開された。
12/14(土)11:00 12/26(木)11:00
おとし穴
Pitfall
1962/日本(勅使河原プロダクション=ATG)/97分/白黒/35ミリフィルム上映
監督:勅使河原宏 原作・脚本:安部公房
出演:井川比佐志 田中邦衛 佐々木すみ江
12/14(土)14:00-講演あり 詳細はこちらへ
|
|
©一般財団法人草月会 |
北部九州の炭鉱地帯で大掛かりなロケが行われた、勅使河原宏の初長編監督作であり、勅使河原プロダクションの第1回作品。安部公房作・脚本のテレビドラマ「煉獄」(九州朝日放送/1960年芸術祭奨励賞)を、安部自らが映画のシナリオに書き改めた。武満徹、高橋悠治、一柳慧が参加した第一線の現代音楽家による映画音楽も、シュールな世界観の強度を高めている。
12/11(水)14:00 12/22(日)14:00 12/27(金)14:00
砂の女
Woman in the Dunes
福岡市総合図書館収蔵作品
1964/日本(勅使河原プロダクション)/147分/白黒/35ミリフィルム上映
監督:勅使河原宏 原作・脚本:安部公房
出演:岸田今日子 岡田英次 三井弘次
|
|
|
ある教師が砂地に棲む昆虫を探しにやって来る。夜になり、教師は穴の底に住む女の家に泊まる。翌朝教師は家を出ようとするのだが、ハシゴがなくなっており出られなくなってしまう。原作は安部公房の代表作であり、その名を世界に知らしめた傑作。安部公房自身が脚本を書き、外界と隔絶した不条理な世界の男女関係を映像化している。第17回カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞作品。
12/13(金)14:00 12/19(木)14:00
他人の顔
The Face of Another
1966/日本(勅使河原プロダクション=東京映画)/122分/白黒/35ミリフィルム上映
監督:勅使河原宏 原作・脚本:安部公房
出演:仲代達矢 京マチ子 平幹二朗
|
|
©一般財団法人草月会 |
新設工場を点検中、顔に大火傷を負った奥山(仲代達也)は、頭・顔を包帯巻きになってしまう。顔がなくなってしまったことで、人間関係に失望し異常なほど疑い深くなっていく。精神科医からモデルになった人間と見分けがつかないほど精巧なマスクが作ることを提案され、まったく別の人間の人生を歩むことを思いつく。印象的な診察室のセットのデザインは、建築家の磯崎新が手がけている。
12/13(金)11:00 12/15(日)14:00
燃えつきた地図
The Man Without a Map
1968/日本(勝プロダクション)/115分/カラー/35ミリフィルム上映
監督:勅使河原宏 原作・脚本:安部公房
出演:勝新太郎 市原悦子 中村玉緒 渥美清
|
|
|
「砂の女」「他人の顔」に続く、失踪三部作の最後の作品。興信所に勤める主人公が、ある女性から突然失踪した夫の捜索を依頼される。足取りを追って奇妙な事件に遭遇するうち、やがて探偵自身が都会のなかで自分を見失ってゆく。都会という砂漠の迷路の中で、捜査の手がかりを求めてさまよう主人公の心象を勝新太郎が抑制的に演じ、現代の都市社会の人間関係を描写する。
12/15(日)11:00 12/27(金)11:00
白い朝 Ako
1965/日本(にんじんくらぶ)/29分/白黒/デジタル上映
監督:勅使河原宏 原作・脚本:安部公房
出演:入江美樹 長谷川照子 松下洋子
|
|
©一般財団法人草月会
|
パン工場で働く少女と休日を楽しむ若者たちをコラージュした短編ドラマ。日本、イタリア、フランス、カナダの4ヶ国合作によるオムニバス映画「15才の未亡人たち」の日本編。スタッフに武満徹、写真家の石元泰博、グラフィックデザイナーの粟津潔と豪華メンバー。パン工場で働くアコをトップモデルの入江美樹が演じる。
詩人の生涯 A Poet's Life
福岡市総合図書館収蔵作品
1974/日本/19分/カラー/35ミリフィルム上映
監督:川本喜八郎 原作:安部公房
|
|
|
パステル画を使った切り紙アニメーションによる作品。現実と幻想とを交錯させながら、一人の詩人が誕生する瞬間の感動を見事に捉えた。セピア調の画面の中に赤く染まったジャケットが印象的である。
12/14(土)16:00〈入場無料〉
1日240時間
240 Hours in One Day
1970/日本(日本自動車工業振興会)/30分/カラー/デジタル上映
監督:勅使河原宏 脚本:安部公房
出演:仲代達矢 京マチ子 入江美樹 平幹二朗
協力・素材提供:甲南大学 友田義之氏
|
|
©一般財団法人草月会 |
生き物の動きを10倍速にするアクセレチンの発明が巻き起こす悲喜劇を、特殊技術や色彩技術を駆使して描く、ミュージカル調のSFファンタジー。1970年大阪万博の自動車館で正面3・天井1の計4面スクリーンに投影された画期的実験映画を1スクリーンに構成した復元版を上映する。安部公房脚本、勅使河原宏監督タッグの最後の作品。
※本編上映終了後、本作の復元に携わられた友田義行氏による講演をおこないます(入場無料/16:30-17:15予定)
12/14(土)18:00 12/20金14:00
時の崖
The Cliff of Time
1971/日本(安部公房スタジオ)/32分/白黒/デジタル上映
原作・脚本・監督:安部公房
出演:井川比佐志 条文子
協力:Abe Kobo official through Japan UNI Agency, Inc. Tokyo. 画像提供:シネマヴェーラ渋谷
|
|
|
落ち目のボクサーが試合への不安を紛らわすように、自分に語りかけ続ける。安部公房が自身の脚本を演出し、1970年秋に、新宿紀伊國屋ホールで上演した舞台を原作に映画化。井川比佐志は、舞台版の主演も務めた。
仔象は死んだ
The Little Elephant Is Dead
1980/日本(安部公房スタジオ)/53分/カラー/デジタル上映
原作・脚本・監督・音楽:安部公房
出演:山口果林 条文子 寺田純子
画像提供:シネマヴェーラ渋谷
|
|
|
白い布に、数々の夢が映し出されてゆく。女性の形をした「夢」や「布の精」、言葉を失った「探す男」が現れる。身体表現によって作り上げられる不条理劇で、衣装、セット、照明、音楽までを安部公房自身が手がけた。安部公房スタジオ最後の同名演劇を映像作品として再構成した作品。
12/21(土)17:00 12/25(水)14:00
自分革命映画闘争
2023/日本(石井岳龍=KDUF)/165分/カラー/DCP上映
監督・脚本:石井岳龍
出演:神戸芸術工科大学・映画コース関係者有志
|
|
©ISHII GAKURYU
|
大学の実習での制作を物語の起点に、「石井岳龍教授」を監督本人が演じ、さらに制作スタッフ全員がカメラの前に立つ異色作。自らの思想「自分革命闘争ワーク」の実践に駆られ失踪した石井監督を、学生・助手たちが追う。直接的には言及されないものの、劇中の「ワーク」として、次回作として構想中だった「箱男」を実践するシーンが差し込まれる
12/21(土)13:30 12/26(木)14:00
箱男
The Box Man
2024/日本(映画『箱男』製作委員会)/120分/カラー/DCP上映
監督:石井岳龍 原作:安部公房
出演:永瀬正敏 浅野忠信 白本彩奈 佐藤浩一
※12/21(土)の本編上映終了後、石井岳龍監督によるトークイベントをおこないます(入場無料/15:30-16:15予定)
|
|
©2024 The Box Man Film Partners |
安部公房の代表作のひとつである1973年に発表された同名小説を、半世紀の時を経て、長年映画化を望んでいた福岡出身の石井岳龍が監督し完成させた。一度1997年に映画の製作が決定し、ドイツでのクランクイン直前に撮影が頓挫してしまった幻の企画が、27年の時を経て実現に至った、渾身の安部公房原作最新映画作品。
上映スケジュール
ページの先頭へ |